宅地建物取引士の試験で、毎回1問は出題される問題です。
宅地建物取引業の免許が必要な場合
まず、宅地建物取引業の免許とは。「宅地」「建物」「取引」「業」は字のごとく宅地や建物を取引を業にする場合必要になる免許です。
宅地とは、
1.現在建物が建っている土地
2.将来建物を建てる目的で取引される土地
3.用途地域内の土地
の3種類に土地になります。
建物とは、
建物は建物、主に住居ですが事務所や倉庫、マンションやアパートの一室も建物に含まれます。
取引とは、
区分 | 自己物件 | 他人の物件の代理 | 他人の物件の媒介 |
---|---|---|---|
売買 | ○ | ○ | ○ |
交換 | ○ | ○ | ○ |
賃貸 | × | ○ | ○ |
自己物件を賃貸する場合以外は、取引とみなされます。○が入っている項目をする場合は、宅地建物取引業の免許が必要になります。
業とは、
業とは、「不特定多数の人」に対して「反復継続」して取引を行うことをいいます。
例えば、自分の自宅を売る場合は、基本一度だけになりますので、宅地建物取引業の免許は必要ありません。賃貸物件をお持ちの大家さんなども、反復継続して取引を行いますが、取引としてみなされませんので宅地建物取引業の免許は必要ありません。その為、大家さんは免許を取得する為に必要な供託金なども必要ありません。大家さんになるのに免許が必要になっていましたら、大家さんになる方が少なくなり、ホームレスが増えているかもしれませんね。
私の覚えているポイントは、媒介(仲介)をする為には、宅地建物取引業の免許が必要になり、建売業者も、宅地建物取引業の免許が必要になる。大家さんは宅地建物取引業の免許がいらない。という事です。免許が必要ないという事は、宅地建物取引業法による制約がない事です。例えば、大家さんと直接賃貸の契約をする場合は、重要事項説明の必要はありません。
平成26年 宅建建物取引士試験問題 問26
上記の宅地建物取引業についてを読んだうえで、考えてみてください。実際に試験に出題された問題です。
問26 宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア Aの所有する商業ビルを賃借しているBが、フロアごとに不特定多数の者に反復継続して転貸する場合、AとBは免許を受ける必要はない。
イ 宅地建物取引業者Cが、Dを代理して、Dの所有するマンション(30戸)を不特定多数の者に反復継続して分譲する場合、Dは免許を受ける必要はない。
ウ Eが転売目的で反復継続して宅地を購入する場合でも、売主が国その他宅地建物取引業法の適用がない者に限られているときは、Eは免許を受ける必要はない。
エ Fが借金の返済に充てるため、自己所有の宅地を10区画に区画割りして、不特定多数の者に反復継続して売却する場合、Fは免許を受ける必要はない。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 なし
正しい選択肢はいくつありますか?これは、最近の試験で出題数が増えている個数問題です。今までの問題の様に、一つの正しい選択肢又は誤っている選択肢を選ぶ問題ではありません。とりあえず全部の選択肢を読まないといけません。それに一つを選ぶだけでしたら、確実にわかる選択肢が一つあれば、回答ができますが、個数問題ではできません。
選択肢アは、Aの所有しているビルをBが賃借して不特定多数の人に反復継続して転貸していると書いてあります。Aは、自らのビルを貸しているだけですので免許は必要ありません。Bも自ら借りている物を転貸しているだけですので、免許は必要ありません。アの選択肢は、正しいです。
選択肢イは、自己物件の売買になります。不特定多数の者に反復継続して分譲する場合と記載されていますので、売主のDも宅地建物取引業の免許は必要になります。選択肢イは、誤っています。
選択肢ウは、購入先が国その他宅地建物取引業法の適用がない者の場合で、転売をするために反復継続して宅地を購入する場合と書いてあります。これも選択肢イと同じように自己物件の売買になり、不特定多数の者に反復継続して分譲する場合となりますので、Eも宅地建物取引業の免許は必要になります。選択肢ウは、誤っています。
選択肢エは、選択肢イと選択肢ウと同じように自己の土地を不特定多数の者に反復継続して売却する場合に該当しますので、宅地建物取引業の免許は必要になります。選択肢エは、誤っています。
上記の事より正しい選択肢はアの一つだけになり、正解は1の一つになります。
とりあえず、大家さんは宅地建物取引業の免許は必要ないという事と、不特定多数の者に反復継続して売却する場合(建売業者やデベロッパーなど)は宅地建物取引業の免許が必要になるという事を覚えてください。私が覚えているのはこれだけです。