「賃貸不動産経営管理士」の試験まで53日
「賃貸不動産経営管理士」の試験まで53日。
今日は、建物賃貸借契約の特約の有効性に関する問題です。
本来契約の自由ですので、借りたいという申し込みと貸してもいいですとい承諾により契約は成立します。
業として行っている貸主と借主では、貸主の方が圧倒的に知識と経験がありますので、自分に都合のいい特約を入れた契約にする場合がありますが、法律上弱者の借主を守るために特約が有効となる場合とならない場合があります。
その特約の有効性に関わるのが本日の問題です。
「賃貸不動産経営管理士」の試験 平成28年の過去問 問13
【問 12】借地借家法の適用のある建物賃貸借契約の特約の有効性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 賃貸借契約の締結と同時に設定される「期間満了時に賃貸借が解約される」旨の特約は無効である。
- 法令により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合で、この建物を目的物とする賃貸借契約を書面により締結するときに、建物取壊時に賃貸借契約が終了する旨の特約を定めても、定期建物賃貸借契約の要件を満たしていない限り、その特約は無効である。
- 借主が貸主の同意を得て賃貸不動産に設置した造作について、借地借家法第33条1項に基づく造作買取請求権を排除する旨の特約は有効である。
- 更新について合意が成立しない場合には、賃貸借契約が期間満了と同時に当然終了する旨の特約は無効である。
1.賃貸借契約の締結と同時に設定される「期間満了時に賃貸借が解約される」旨の特約は無効である。
そのままです。
賃貸借契約としか記載されていませんので、普通賃貸借契約か定期借家契約かはわかりませんが、定期借家契約の書式で契約をした場合では1年から半年前までの解約通知が期間満了での賃貸借が解約条件となります。
賃貸借契約書に、「期間満了時に賃貸借が解約される」との記載だけでは賃貸借契約は終了しません。
普通賃貸借契約では、貸主に正当事由が無ければ貸主から賃貸借契約を解約することはできません。
借家契約においては、契約当事者が、一定期間前に、契約を更新しない旨または条件を変更しなければ契約更新しない旨の通知をしない場合には、従前の契約と同一の条件で契約を更新したとみなされるが、これが法定更新である。このとき、更新後の契約期間は定めがないものとされる。
法定更新は強行規定であるため、それについて借主に不利となるような特約を定めても無効となります。
その為、選択肢①は正しいです。
2.法令により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合で、この建物を目的物とする賃貸借契約を書面により締結するときに、建物取壊時に賃貸借契約が終了する旨の特約を定めても、定期建物賃貸借契約の要件を満たしていない限り、その特約は無効である。
法令または契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合で、この建物を目的物とする賃貸借契約を書面により締結するときに、建物取壊時に賃貸借契約が終了する旨の特約を定めた場合、その特約は有効です。
その特約が、定期建物賃貸借契約の要件を満たしていなくても、有効であることに変わりありません。
その為、選択肢②は誤っています。
3.借主が貸主の同意を得て賃貸不動産に設置した造作について、借地借家法第33条1項に基づく造作買取請求権を排除する旨の特約は有効である。
借主が貸主の同意を得て賃貸不動産に設置した造作について、退去時貸主に買い取って下さいという借地借家法第33条1項に基づく造作買取請求権。
造作買取請求権を排除する旨の特約は、弱者の借主の権利を阻害する様な感じで無効のように思われますが、有効です。
その為、選択肢③は正しいです。
4.更新について合意が成立しない場合には、賃貸借契約が期間満了と同時に当然終了する旨の特約は無効である。
そのままです。
更新について合意が成立しない場合には、従前の契約と同一の条件で契約を更新したとみなされる法定更新となります。
法定更新は強行規定であるため、それについて借主に不利となるような特約を定めても無効となります。
その為、選択肢④は正しいです。
「賃貸不動産経営管理士」の試験 平成28年の過去問13の解答とまとめ
最も不適切なもの(誤っているもの)の選択肢は、②です。
今日の問題の内容は下記の様になります。
- 賃貸借契約の締結と同時に設定される「期間満了時に賃貸借が解約される」旨の特約は無効です。
- 法令または契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合で、この建物を目的物とする賃貸借契約を書面により締結するときに、建物取壊時に賃貸借契約が終了する旨の特約を定めた場合、その特約は有効です。
- 借主が貸主の同意を得て賃貸不動産に設置した造作について、借地借家法第33条1項に基づく造作買取請求権を排除する旨の特約は有効です。
- 更新について合意が成立しない場合には、賃貸借契約が期間満了と同時に当然終了する旨の特約は無効です。
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